2016-03-20

カテゴリー :
法律関係
講義

イスラム法(3) (Islamic Law 3)

「イスラム法」という用語を使う場合、①Sharia(シャーリア)と②Fiqh(フィクフ)を合わせた意味で使われることがあります。

 

シャーリアとは、コーランおよびスンナ(ムハンマドの言動)に基づく啓示されたルールです。一般的・基礎的な原則であり、その内容は変更できないという性質があります。

 

他方、フィクフとは、シャーリアに直接示されていない事項について、学者がシャーリアを基に導く法解釈学をいい、特定事項に対するもので、時代や環境に応じて変更され得るという性質があります。

 

 

それでは、フィクフの発展の歴史を簡単に見ていきましょう。6つの時代に分けて考えられています。

 

(1)Foundation(609~632年)

ムハンマドが生存していた時代です。

ムハンマドを通じて、コーランが、問題に対する答えを啓示していました。

 

例えば、ワイン(アルコール)やギャンブルについて、コーランは、それらの効能より、害悪の方が大きいという理由で禁止しています。

 

(2)Establishment(632~8世紀中頃)

この時期に、イスラムは、ヨルダン、エジプト、イラクなどの地域に広がっていきました。

 

それと同時に、異なる文化と触れ合い、シャーリア(コーランおよびスンナ)ではカバーされていない新たな問題が発生してきました。そこで、そのような問題に対応するため、フィクフ(イスラム法学)が発展しました。

 

新たな問題が発生した場合は、次のステップで対応されます。

①まずは、コーランで答えを探します。

 

②コーランで答えが見つからないときには、ムハンマドの言動であるスンナを調べます。

 

③それでも答えが見つからないときには、Sahabat(サハバ)(教友)を集め、問題に対する共通見解を得ます。これは、Ijma(イジマ)(イスラム法学者の共通見解)と言われます。

 

④共通見解に至らないときは、多数説を採用します。

 

⑤見解の相違が複雑なときは、Ijtihad(イジュティハード)を採用します。

Ijtihadとは、「独自の推論・解釈理論」を意味するイスラム法学の用語です。

 

(3)Building (ウマイヤ朝の時代:661年~8世紀中頃)

この時代には、Ummah(共同体)の分割、Ulama(ウラマー)(イスラム法学者)やその教え子の分散があり、それぞれ新しい問題に対応するためのIjtihadが増えていきました。それに伴い、Mazhab(イスラム法学校)も発展していきました。

 

また、Hadith(ムハンマドの言行禄)の製作も行われるようになりました。

 

 

(4)Flowering (アッバース朝:8世紀中頃~10世紀中頃)

 

(5)Consolidation(アッバース朝:960年~13世紀中頃(モンゴル襲来))

この時期に、Mazhab(イスラム法学校)が4校(現存)になり、それぞれIjtihadを形成していくようになりました。また、様々なHadithの作製が始まりました。

 

(6)Stagnation and Decline(1258年~現在)

この時代になると、新たなIjtihadの形成はなくなり、これまでのものを守る時代になりました。

 

 

 

次に、イスラム法の法源についてです。

以下のように整理されています。

 

1.第1次的法源

Revealed Sources (啓示に基づく法源)

・The Quran : コーラン

・The Sunnah: ムハンマドの言動(広義)

 

ここで、Sunnah(スンナ) とHadith(ハディース)の位置づけが気になります。

二つの言葉は、同義なのか、それとも違う意味を有するのかは、諸説あるところのようです。講義では、次のように説明されていました。

 

Definition of Sunnah:

The words and deeds of the Prophet s.a.w.

・The words are called Hadith.

・The actions and practices are sunnah.

この理解によると、ムハンマドの言動を意味する広義のスンナは、ハディースと言われる「言葉」と、狭義のスンナにあたる「動作や実践」から構成されています。

 

 

2.第2次的法源

Ijtihad (イスラム法学者がコーランやスンナに基づき、導き出す見解)

・Ijma(イスラム法学者の共通見解)

・Qiyas(類似事項からの演繹的推論)

・Istihsan(公共の利益)

・Istislah(法的推論)

・Urf (慣習)

など。

 

※上記は、諸説あるものを、筆者の理解を踏まえて表現したものに過ぎません。また、その内容の正確性は、一切保証できません。

 

つづく。

弁護士 味村祐作

イスラム法(3) (Islamic Law 3) への1件のフィードバック

  1. Makmur. SH.MKn のコメント:

    イスラム法関連記事をインタネット調査により、思わずにしざわBlogを見ました。
    インドネシアのUniversitas 17 Agustus 1945 Jakarta Faculty of Law, 及び
    Universitas Jayabaya Faculty of Public Notary を卒業した、日本語検定試験2級合格
    、Makmurと申します。

    上記のイスラム法に関する内容を読んで、勉強になったことと、自己紹介をすることて、
    このメッセージを差し上げます。

    マクムル

    自宅住所
    Lippo Cikarang

    Mobile :+62-853-1228-3037

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