株主数について

タイの民商法では、有限責任会社(Limited Company)の株主は3名以上と決められています。以前は、7名以上だったのですが、さすがに多すぎるということで3名以上に改正されました。日本では、1名でも構わないので、とても違和感がある規定です。なぜ、3名いないといけないのかという合理的な理由は全くないと思います。

たしか、日本でも古い商法では、発起人が7名以上でなければならないという条文あり、これは、株式会社の歴史上、世界で初めての株式会社の発起人が、7名であったことが由来であると大学で習った記憶がありますが、現代社会では何の意味も持ちません。

そのため、タイの日系企業等では、本社がほとんど株式を持ち、あと、2名を本社の取締役等が1株ずつ持つという運用がよく見られます。
このように1株ずつ取締役が本社のために株式を持つというやり方自体は、違法ではありません。
通常、タイの有限責任会社は、株式の額面を100バーツ、または、1000バーツとしていますから、実際に出資をしても、100バーツまたは、1000バーツの負担にすぎません。従って、現実に当該取締役が出資をするという処理が通常のようです。

ところで、外国人事業法は、タイ人(法人を含む)が外国人(法人を含む)のために出資することなく名義上、株式リストに株主として登記することを罰則を以て禁じています。

日本人が日本人株主のために株式を名義上持っていても、この条文には抵触しませんので、特に問題にはされることは考えられません。他方で、タイ人が出資することなく、1株だけの株主として株主リストに登記されていると形式上この条文に抵触しますので、注意が必要です。

また、このような場合、当該取締役が退職したり、万が一、亡くなったりすることも考えられますので、あらかじめ、譲渡契約書に署名をしてもらい、いつでも別の株主に譲渡できるように準備しておくことが実務では行われています。

ここからは、余談ですが、先日タイに出張で行った際に、愛用のペンを飛行機の座席の下に落としてしまい、見つからなくなってしまいました。乗務員さんに言っても見つからず、入れ替わり立ち替わり違う乗務員さんが探しに来てくれましたが、駄目でした。

こういうときのタイ人は、お客さんと職員という感じではなく、なんとなく友達ノリになります。お互いにその方が気が楽っていうのをなんとなくわかってるんでしょうね。

結局、着陸後(夜の10時を回っていたのですが)、地上のエンジニアさんが二人来て、椅子のねじを外しながら、床に這いつくばって探してくれたところ、ペンが出てきて、「あった!」となったのですが、実は私のではなく、「みんなも落としてるんだね」なんて話しながら、「何色?黒?黒いのもあるぞ」、なんて言って取りだしたペンも、やっぱり、私のではなく、「え、もうないぞ?」といいながら、あきらめムードの中、しばらく探して、「これか?」っと出てきたのが、私のペンでした。

これには、周りで見ていた乗務員さんたちから拍手が起きて、「よかったね~」なんて言われて、握手して、流れで記念撮影までして、機長にまで「よかったね」と言われて、みなさんにお礼を言って、お客さんのいなくなった飛行機から一人通路を空けてもらって帰ってきた次第です。なんだかとても嬉しかったです。

日本だったら、時間も遅いし、連絡先を書いて後日連絡しますみたいなことになって、あれだけ奥に入ってしまっていたら、結局出てこなかっただろうなと思いました。タイ人のこういう明るいノリの親切心は、本当に大好きです。まさに微笑みの国という感じがしますね。

(その時の写真。隣のエンジニアさんが持っている二本は一緒に出てきたペンです)
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