外国人事業法の改正について

少々バタバタしておりまして、時間が空いてしまいました。
日本は寒く、タイは涼しくなってきましたが、体調を崩したりされていないでしょうか。

ところで、外国人事業法が改正されるというニュースを最近頻繁に見かけます。また、これに関するご質問を頻繁にお受けします。

外国人事業法は、過去に何度も改正されると言われながら、その都度、産業界からの反対にあったり、政治の問題でそれどころではなくなったりして、改正されずに今に至っています。

今回は、軍隊による暫定政権ということで、政治的な圧力からフリーであるということから、ついに改正を完了させるという事のようです。
また、ASEANの市場統合に対応する為にも、このタイミングで改正が必要ということもあるようです。

それでは、外国人事業法が改正された場合、我々日本人や日系企業には、どの様な影響が予想されるでしょうか。

まず、改正の内容ですが、現時点では明確になっておりません。今後、ドラフト作成作業を進め、年明けに新たな法律案が発表されると言われています。

ただ、外国人事業法は2007年にも改正案が作成されており、今回の改正案もその延長線上にあると思われるため、2007年の改正案を参考に検討してみたいと思います。
2007年の改正案において、日系企業に対して影響が大きいと思われる部分は、外国人の定義に関する改正部分です。
現在の外国人事業法では、株式の過半数を、外国人ないし外国法人が保有している会社を外国人と定義しております。
これについて、新しい外国人事業法では、株式数のみではなく、議決権の過半数を外国人が有する会社も、外国人の定義に追加しているのです。

これによって影響を受ける会社、すなわち、今まではタイ国法人であったのに、新法では外国法人となってしまう会社とは、タイ人株主に優先株を発行して議決権を制限していた会社です。

逆に、議決権の制限をしない場合は、後述する制限業種のリストの変更により、新たに制限を受ける業種として指定されていなければ、特に影響は受けないことになります。

また、2007年の改正案では、新法が施行される前にはタイ国籍であった会社で、新法では外国籍になってしまう会社や、新たに制限業種に指定された会社については、申請することによって、ビジネスライセンスが与えられるとされています。
申請をしないと、罰則等の適用をうけることになるので、注意が必要ということになりそうです。

外国人の定義の変更については、この範囲の改正に留まるのであれば、日系企業に大きな影響は及ぼさないといえるでしょう。

もう一つ、影響が考えられる点としては、外国人に禁止される事業のリストに、2007年改正案では変更が加えられていました。
リスト3(18)の観光業が禁止リストから外れています。
逆に(14)(15)の大規模(資本金1億バーツ以上)の小売・卸売業が禁止対象になっています。

また、特別法等の適用を受ける各種金融関係の業種が、禁止リストから外れています。
現在、資本金1億バーツ以上で小売・卸売業を外資過半数の形態で行っている会社は、
このままの形で改正が為された場合は、ビジネスライセンスを申請しておけば、現在の業務を、株主構成を変えずに続けることが出来るので、今後の参入障壁が出来ることを考えれば、むしろメリットかも知れません。

ただ、新法が2007年の改正案と同じようになるかどうかは、全く決まっておりませんし、改正作業にも時間がかかっているところをみますと、追加の改正も相当程度予想され、今後の動向を注視する必要があります。

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